ブラックバスの放流はダメ、鮎の放流はOK?  


鮎釣りの季節です
自身鮎釣りはしませんが、釣りの雑誌などを見ていると、どこどこの川に稚鮎何万匹放流済みなどの記事が出ています。その大部分が琵琶湖で養殖された「湖産鮎」と呼ばれる鮎です。
普通の鮎は「淡水性両側回遊」と呼ばれるもので、河川で孵化し海で成長し河川でも成長し産卵する鮎です。
しかし、琵琶湖の鮎は海へ下ることはなく、琵琶湖で成長する鮎です。素人目にもその2つの鮎が同じ種類の鮎だとは思われません。
最近、九州でも鮭の放流がおこなわれています。以前は遡上していたが、川が汚染したため遡上しなくなった。しかし、今ではこんなに川がきれいになった。そのシンボルとしての放流です。
数年に1匹か2匹遡上したといって新聞紙上を賑わせます。
その一方では、外来種であるブラックバスの放流が法律により規制されています。
国内種は放流してもよく、外来種はダメ、果たしてそれでいいのでしょうか?
淡水魚には地理的隔離によって固有亜種(ヤマメなど)があり、それらは自然界ではけして他の亜種と交配することはありません。しかし、そこに人間の手が入るといとも簡単に交配するのです。
また、そこには本来棲んでいない魚(国内種)を放流し
「この湖では何々が釣れますよ」
と行政主導のもと堂々とおこなわれています。
これはブラックバスの放流と何ら変わりありません。

海水魚の放流も同じです   
最近、放流が盛んなヒラメも東日本産と西日本産は別種ではないかと言われています。また、鯛にも地域性が見られるとも言われています。身近な鯛やヒラメでさえよく判らない、まして水産重要種でない釣り人のターゲットであるクロやチヌなどはまったく判っていないのが現状です。

近親交配
魚は一度に数万個単位の卵を産みます。その中から成魚になるのは2,3匹です。これらの成魚が近親交配する確率はまずあり得ません。
しかし、数少ない親から卵を孵化しある程度まで育てた稚魚を同じ場所から放流するとなると、沿岸性の強い魚、湖沼に棲む魚などは特に近親交配する確率がぐんと高くなります。
近親交配に関しての弊害はたぶんまだ充分に研究されていないと思われますが、よくないと言う事だけははっきりとしています。

以前テレビを見ていたときのこと    
なぜ「ソメイヨシノ」はサクランボをつけないのか?と言う疑問に対しての答えを聞いてびっくりしました。
ソメイヨシノはある植木職人が作り出した1本の桜から始まっているとのこと、それを挿し木して増やしているため遺伝子構造は全て同じだそうです。近くにどれだけソメイヨシノがあっても同じものだから実をつけることはないとのこと。ソメイヨシノは子孫を残すことはできないのです。

それがどのような理由であれ、放流はよくない事なのです。
魚は魚、どこ産だろうと別に関係ない。そこまで真剣に考えることはないだろうと、たかをくくっていると必ず自然界から大きなしっぺ返しがきます。
魚がソメイヨシノのようにならないよう我々はもっと自然と向き合うべきです。


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